デイサービスの役割
社交の場にでかけるということ

知り合いの祖父Sさんの話。

 

下肢筋力の低下が顕著で、軽度認知症の診断を受けたため、要介護認定を受けてデイサービスに通い始めたSさん。

認知症は軽度で、歩行にふらつきがあるものの排泄は自立している。

 

服の仕立て屋の経営をされていたそうで

普段から服装にも気を配られる方だった様子。

デイサービスの利用が始まり

Sさんは身なりをしっかり整えて

毅然とした態度で出発していかれた。

 

数回利用した後に

デイサービススタッフからご家族に連絡が入った。

「Sさんの履いているズボンが入浴介助の際に脱がせにくいので、次からジャージみたいなものを履いてきてください。」

と。

 

知り合いは介護未経験。

「そういうもんか」

と思いデイサービス用のジャージを準備。

しかし

ジャージを履いてデイサービスに出発する祖父をみて、違和感を感じたという。

「なんかジャージ履いてデイにいくじーちゃんみてさー。よくわからんけど悲しくなってまって。でも迷惑かけたらあかんからさ。そんなもんやよねー?」

 

その話を聞いた時

軽く血圧が上がった感覚を覚えている。

そんなもんではない(笑)

 

Sさんが

社交の場であるデイサービスに

身なりを整えて出かけるところから

デイサービス利用の大きな効能が発揮されている。

Sさんらしく在宅生活を継続するためのデイサービス。

尿失禁もなく

ズボンが影響する転倒のリスクもないのに

「脱がせにくい」

という理由でジャージを提案。

 

 

例えばの話。

 

尿失禁があり

スラックスだと間に合わないことが多く

「本人が」辛い思いをするから

 

自力で入浴動作を頑張ってやってもらいたい時に

スラックスだと転倒のリスクが高いから

 

このような理由ならまだわかる。

本人主体だから。

 

しかし、くどいようだが

「脱がせやすい」かどうかで

ジャージを提案するのはどうなのか?

 

Sさんの意思は私は聞いていないが

家族の心境は

「おじーちゃんらしくなくなった」

「でも仕方ないのか」

という、寂しい気持ち。

 

在宅生活の継続のためのデイサービスの役割

身支度の重要性

その方らしい服装のもたらす効能と満足感

ジャージを強要される家族の気持ち

デイサービスで働く方々は

この辺りを深く理解しておいてほしい。

レクと入浴だけじゃないよと。

 

詳細はわからない。

やりとりの中に誤解もあったかもしれない。

しかし

この事例から学ぶことはとても多い気がする。

 

 

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