「一見“綺麗事”を、綺麗事で終わらせない人」リーダーで挫折した私が、現場に戻って学び直した理由
介護の現場で20年。訪問介護のサービス提供責任者から、24時間施設の立ち上げ所長へ。 外から見れば順調なキャリアの途中で、三輪由里子様は「自分はリーダーに向いていないのではないか」と思い詰めた時期があったといいます。
今はコーチとして介護職の方を支えながら、ご自身もパートで現場に立つ三輪様。 静岡・浜松から名古屋開催の「アップデート介護福祉士講座」に足を運んだ経緯と、そこで何が変わったのかを、講師の小森がうかがいました。
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一対一の訪問介護が「天職」だった
小森:本日はよろしくお願いします。まず、自己紹介をお願いできますか。
三輪様:三輪由里子と申します。介護の業界にはもう20年以上働いていて、ずっと正社員で、現場の責任者として長く働いてきました。今は子育てもあるので現場はパートでやりつつ、介護の仕事に就いている方にコーチングをお伝えしたり、セッションをしたり、研修を提供したりという仕事をしています。
小森:コーチングに行き着いたきっかけは、何だったんですか。
三輪様:自分がリーダーとして見たときに、うまくリーダーシップが発揮できなかったという、すごく辛い原体験があって。そこでリーダーシップのこととか、コミュニケーションということで、コーチングを選んだんです。今はそれを通して、自分と同じように悩む人たちを少しでもお手伝いできたら、と思っています。
「個人個人とはうまくやれていたのに、チームは逆方向へ」
小森:その原体験のところを、もう少しうかがえますか。
三輪様:私は訪問介護からスタートしたんですけれども、それがすごく私に合っていて。最初の1年くらいは迷いもあってブレていたと思うんですが、ホームヘルパー2級を取ってサービス提供責任者になって、サービス担当者会議にも出るようになって。それまでは目の前の方だけを見ていたところから、その方の生活全体をご家族も含めて知るようになって、責任を持たせてもらって。そこから本当にハマっていったというか、天職だなと思いました。
小森:一対一で、その方の生活を支える仕事ですね。
三輪様:そうなんです。デイサービスの経験がなかったので、私にとっての介護は本当に一対一でした。年配のヘルパーさんが多い中でもうまくやれていて。そこからありがたいことに、24時間の施設、ショートステイの立ち上げを所長として任されることになったんです。
小森:そこで何が起きたんでしょう。
三輪様:訪問介護って、ヘルパーさんとも基本は一対一なんですよね。そこでうまくやれていたから、その感覚で大丈夫かなと思っていて。でも、もともとカリスマ的にリーダーシップを発揮できるタイプじゃなかったので、そこで挫折してしまったんです。旗振り役が「ちゃんとこっちに行くよ」と言わないと、個人個人とはうまくやり取りできていても、大きな塊としてスタッフさんがみんな反対方向に行ってしまう。
小森:それは、つらいですね。
三輪様:不満が出てしまったときに、それに対抗するだけのエネルギーを私が持っていなかった。お客様のために必死で、人が足りなければ夜勤にも何回も出て、ケアマネージャーさんとのやり取りも頑張っている中で、中の人たちとチームを作っていけない。私にはリーダーは向いていないんじゃないかと、すごく感じました。精神的にもダウンしていたと思います。人って追い込まれると自分を守るので、余計にコミュニケーションが雑になるんですよね。会社のせいにしてみたり。本当に、自分の暗黒期でした。
これは、個人の資質だけの問題ではない
先生:三輪さんと同じ立場で、同じ苦しさを抱えている方は決して少なくないと思うんです。
三輪様:そうですね。介護は報酬が決まっているので、基本的に事業を拡大していくことでしか会社が成長できないじゃないですか。新規出店となると、万全に「リーダーできます」という人がリーダーになるわけではないことが、すごく多い業界だと思うんです。リーダーが抜けたときに、下がみんな粒ぞろいで続く人がいるかと言われたら、やっぱり違う。教育やリーダーの育成が、なかなかできているばかりではないと思うので。
浜松から名古屋へ。「初リアル小森さん」
先生:そもそも私のことは、どこで知ってくださったんでしたっけ。
三輪様:共通の知り合いから「こういう方がいますよ」とインスタを紹介してもらって、見てはいたんです。その後、自分がインスタを開設するときに、ご挨拶的にフォローを送ったところからやり取りが始まって。小森さんが私のコーチングの講座を受けてくださったりもして。
小森:そこから、講座を受けに来ていただいた。
三輪様:私は浜松なので、岐阜のものはなかなか受けられないんです。そこにアップデート介護福祉士講座が初めて名古屋に来るという、ワンデーのお試しがあって。ワンデーなら行けるし、小森さんの生の講座を受けてみたいと思って行ったのが、初めてのリアル小森さん体験でした。
小森:どうでした、正直なところ。
三輪様:もう、「めちゃくちゃいいな」と。その後、名古屋で4回開催されたうちの、身体介護の回も受けに行かせてもらいました。
現場に戻ったからこそ、足りないものが見えた
小森:あのタイミングで身体介護を学ぼうと思われたのには、何か理由が?
三輪様:所長をやっていた頃って、入浴介助のような個別ケアに入ってしまうと電話対応ができなかったりするので、基本的にやっていなかったんです。それが、パートで一職員として現場に戻ったら、今はがっつり身体介護、重度の方も担当するようになって。現場力の不足感があったんですよね。そこに小森さんの実技的な部分、本当に現場で役に立つところがあって、タイミングがすごく良かったんだと思います。すぐに現場に活かせました。
「一見、綺麗事。でも綺麗事と思わせない」
小森:受けてみて、具体的にここが良かったというのはありますか。
三輪様:小森さんの言われていることって、すごく理想的なこと、現場からすると一見綺麗事なんです。でも、それを綺麗事と思わせない。本当に生の声で語ってくださるので。私も理想は大好きなんですけど、それだけだと現場には届かないですよね。
小森:ありがたいです。
三輪様:あと、言葉選びがすごく配慮されていると思います。一人ひとりいろんな背景のある受講者が集まっている中で、なるべくストライクゾーンは広く見せて、でも絶対的な理想はぶらさずに伝える力。だから響いたんだと思います。事例も「現場あるある」を出してくださいますし、「伝わる」ということをすごく研究されているからじゃないかなと。
小森:三輪さんはリーダーの視点も現場の視点も両方持っているので、感じ方が違うのかもしれませんね。
三輪様:そうですね。リーダーにも知ってほしいとすごく思いました。私は講義で聞いたことを全部メモして、働いているところのリーダーに即伝えましたから。
「誰も置いてきぼりにしない」から、横のつながりが生まれる
三輪様:あと、小森さんは受講生のアセスメントを大事にされていますよね。 誰も置いてきぼりにしない。
小森:そこは、いつも意識しているところです。
三輪様:実務者研修の教員講習会と、アップデート介護福祉士のリーダー編には講師としても参加させていただいて、3日間行ったんですけど、受講生の方同士のつながり感がすごいんですよ。お金を払って受ける講座なので、来られる方の質ももちろんいいと思うんですけど、その方たち同士のつながりが生まれるのは、「誰も置いてきぼりにしない」小森さんがいるからじゃないかなと感じます。
変わったのは「排泄ケアへの考え方」
小森:受講する前と今とで、ここが一番変わったというポイントはありますか。
三輪様:まず現場として、排泄に対しての考え方ですね。私も曖昧だったところが、できる限りトイレで、というように。人の生活として本来あるべき姿というのを、すごく意識できるようになりました。
小森:大きな変化ですね。
三輪様:これはリーダーとして全体を見ているときに持てていたら、もっともっと発揮できたと思うんです。でも、現場にいるからこそ現場のことを学ぼうと思えて、それでリーダーの魅力もより知れたので、本当にタイミングが良かったなと思います。
これから受講を迷っている方へ
小森:最後に、どこで受けようか迷っている方へ、一言いただけますか。
三輪様:とにかく現場をよりよくしていきたい、という思いが満たされる場だと思います。頑張ろうという勇気になったり、励みになったり。ぜひたくさんの方に受講していただいて、小森イズムを持った方が全国に広がるといいなと思います。
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